「RISING 2026」の総仕上げとして、           さらなる成長の基盤を盤石なものにしてまいります

代表取締役社長  田村 春生

「RISING 2026」の総仕上げとして、

さらなる成長の基盤を盤石なものにしてまいります

 

代表取締役社長  田村 春生

環境認識と業績

先行き不透明ななか、5期連続の増収増益を達成

 足元の経済状況は、雇用や所得の改善に支えられ景気は緩やかに回復基調で推移しているものの、海外情勢に起因する不確実性の高まりや、継続する物価上昇による消費者の節約志向が根強く、先行きは不透明な状況が続いています。
 当社グループは小売り・サービス業として、これらを背景とした消費者マインドの動向を常に注視していますが、消費者のライフステージに寄り添い納得感のある価格設定の商品・サービスが多いことから、今後経済環境が厳しさを増しても新たなニーズを取り込める余地があると考えています。
 一方で、さまざまな要因が引き起こす消費トレンドやカルチャーの急激な変化、AIをはじめとする技術革新の変化にも乗り遅れることなく対応を進めていく必要性も強く認識しています。
 このような環境のなか、中期経営計画「RISING 2026」(以下、中計)の2年目となる2026年3月期は、着実に歩みを進めた1年でした。グループ全体では、ファッション事業が消費需要の変化やコスト増加により減益に転じたのに対し、過去最高売上高および最高益を達成したエンターテイメント事業がカバーする構造となり、5期連続の増収増益になりました。

中期経営計画の進捗と見通し

事業環境の変化に対応した“サービスプロフィットチェーン”の構築へ
 2026年3月期の決算においては、グループ全体の売上高は着実に伸長し、収益力も向上しました。私は、その最大の要因は「店舗の拡大・運営方法」にあると考えています。
 当社グループは直営で複数業態を展開しており、AOKIの店舗を快活CLUBやFiT24に転換するなど、グループ内で業態を超えた店舗展開と抜本的な合理化施策を進めてきました。個店ごとに厳しく採算を管理することが多様な業態を生み出す原動力となり、多様な業態があるからこそ柔軟な店舗活用が可能になる
——連続的なM&Aやフランチャイズ展開により店舗を拡大させる他企業との大きな違いがここにあります。このように、当社グループならではの財務・非財務両面での効率的なリソース活用による好循環こそが当社の競争力の源泉です。
 もともと本中計の基本的な考え方は、トップラインの拡大よりも約1,400の既存店舗の効率を高め、利益を積み上げることにありました。「売上は横ばいなのに、なぜ利益が伸びるのか」というご質問をいただくことがありますが、それは中計スタート前から業態・店舗ごとの収益性を細かくモニタリングし続け、不採算店舗の改善・閉鎖を計画的に進めてきたからです。
 同時に、各セグメントの中身も進化し続けています。エンターテイメント事業ではカラオケのコート・ダジュールが厳しいなか、フィットネスジムのFiT24が着実に伸長し、セグメント内の構成が変わりつつあります。ファッション事業でもカジュアル商品の売上高構成比が確実に増えており、レディース商品がさらに拡大していけばさらなる利益貢献が期待できます。引き続き、事業環境の変化に対応した“サービスプロフィットチェーン”の構築に向けた取り組みを継続していきます。
 中計最終年度の2027年3月期は、ファッション事業の不透明感は残りますが、エンターテイメント事業がこれを補う形で計画を策定しています。グループ全体として売上高は過去最高の2,000億円を見込んでおり、営業利益180億円の達成を目指していきます。

経営基盤施策の進捗

店舗網の構造改革を通じて営業効率を向上
 現在、中計の経営基盤施策の一つとして店舗網の改革を継続して実施しています。AOKIの既存店舗のうち、立地や環境の変化により採算性・収益性に課題が生じた店舗の売り場を圧縮し、グループの別業態の複合展開や外部企業へのリーシングを進めています。新店舗の建築・出店コストが上昇しているなか、簡単に新しい店舗を作ることは年々難しくなっています。むしろ、このご時世だからこそ、既存の店舗資産を徹底的に有効活用し、営業効率を上げながら利益を創出していくことが重要です。
 そのため店舗展開については、業態転換や撤退を迅速に判断し、早期に利益貢献を実現する手法をより厳しく徹底し、赤字店舗数と赤字額を定期的にモニタリングしています。その結果、2026年3月期の赤字店舗数割合は、中計スタート直前期の2024年3月期に比べて約半分に減少するなど、着実な改善を進めています。単純な商品・サービスベースの利益だけでなく、その裏側で利益を生み出す店舗構造へと「質」を変えてきたことこそが、本中計の本質的な成果であり、今後も継続して取り組んでいきます。
 

財務戦略、株主還元、資本効率向上策

成長投資100億円のアクションとその発信を急ぐ
 中計に沿って、営業利益率の改善や資産効率の向上を進め、キャピタル・アロケーションも計画どおり実行してきました。開示しているKPI目標の達成に向け着実に手を打ち、一定の成果を上げているという認識であり、株主還元に関しても、中計でお約束した配当方針に基づいた還元を着実に実行しています。ただ、現在の株価は積極的な株主還元策を評価いただいている面が大きく、成長期待による投資を呼び込む段階にはまだ至っていないと感じています。
 キャピタル・アロケーションとして設定した成長投資100億円の枠については、この3年間で次の芽をつくるための枠組みであり、直ちに主力収益として貢献するものとは位置づけていません。さまざまな案件の検討を進めていますが、まずは既存3事業の収益基盤を確実に盤石なものにすべくリソースを集中させていることもあり、まだ具体的な投資には至っていないのが実情です。
 そのため、当社に足りていないのは成長性に期待していただけるようなアクションとその発信であり、既存事業の周辺や延長線上にある新領域でのM&Aの検討も含め、もう一歩踏み込んだ方向感を今後お示ししていく必要があると考えています。
 

ステークホルダーの皆様へ

「2033年度のありたい姿」に向けた強固な足場を築く1年に
 2027年3月期は、中期経営計画「RISING 2026」の最終年度であり、私たちが掲げた目標を着実に達成し、次なる成長ステージへの強固な足場を築く最も重要な1年であり、同時に、次の事業の芽を具現化する時期でもあります。足元の環境変化を踏まえると、既存の店舗を含めた経営資源をより柔軟な発想で活用していく必要があります。こうした取り組みは、自社が持つアセットの価値を多角的に引き出し、新たな潜在ニーズを開拓するとともに、経営資源の価値を最大化するための確かな一歩となっています。
 AOKIグループには、ファッション事業から始まり、カラオケ、複合カフェ、フィットネス、ブライダルと、常に時代の変化を先取りして自らを進化させてきた挑戦的な企業風土と、お客様の潜在的なニーズやウォンツに寄り添い、新たな事業や強みに転化してきた改革マインドがあります。これらのDNAを未来に受け継いでいくために、今後も人材の多様化を図りながら着実に戦力化を進め、従来にないスキルを持つ人材が各業態で活躍できる体制をさらに強化していくことで、既存事業の深化と新たな事業機会の探索を両立させてまいります。
 これら一連の取り組みは、本中計の目標達成にとどまらず、その先にある「2033年度のありたい姿」の実現に向けた確かな基盤となるはずです。
 変化の激しい小売り・サービス業界において、立ち止まることは後退を意味します。私たちはこれまで築き上げてきた事業基盤に決して甘んじることなく、グループが誇る多様な事業ポートフォリオと強固な経営基盤をさらに磨き上げ、次の時代における成長へ向け素早く舵を切っていきます。すべてのステークホルダーの皆様のご期待を上回る価値を提供し続けるべく、中計最終年度の経営に全力を尽くしてまいります。